資産運用

【資産運用】元銀行員が解説!日経平均株価リンク債をお勧めしない理由

日経平均株価リンク債

どうも、おいちゃんです。

先日銀行からある商品を勧められた知り合いの方がいました。

その商品とは日経平均株価リンク債(仕組債)です。

何それと思った方もいれば、最近銀行等の金融機関に勧められた!という人もいるかもしれません。

結論から申しますと、この商品リスクがデカすぎます。私はお勧めしません。

その理由に関して解説していきます。

日経平均株価リンク債(仕組債)とは?

この商品はかなり複雑に作られています。詳細まで説明すると混乱してしまう可能性があるので、分かりやすく噛み砕いて説明していきます。

日経平均株価リンク債とは、日経平均株価に連動している債券です。

まず、日経平均株価と債券についておさらいしましょう。

日経平均株価とは?

これは東証一部に上場している企業の中から選定した日本経済を代表する225社の株価の平均値です。(具体的にはちゃんとした計算式があり、単純に平均とは言えないのですが初心者の方はこんな感じの覚え方で問題ないです。)

日本経済新聞社が東証一部上場企業の中から225社の選定を行っており、日本人なら誰しもが聞いたことがある企業が沢山入っています。(定期的に入れ替えがあります。)

よくNHKで取り上げられていますよね。これは日本の経済動向を見る上で欠かせない指標の一つになっています。

2018年9月現在では22,000~23,000円付近で値動きしています。

凄く簡単に言うと、この日経平均株価が上がれば日本経済いい感じ!となり、下がった場合景気が悪くなってきてる!と判断出来るわけです。

債券について

債券で有名なのが国債ですね。

この国債を例に債券を解説していきます。

国債は国がお金が必要だから発行している債券です。

「国民の皆さん私にお金を貸してください。貸してくれた代わりに、借りている期間の間貴方にお利息を支払います。そして返済日が来たら満額借りていたお金をお返しします。」というのが債券です。

要は個人でいうと銀行から借金してるような感じです。

銀行からお金を借りたら利息を払いながら返していますよね。そんな感じです。

この債券は国だけでなく企業も発行しています。これが「社債」と呼ばれるものです。

株とは何が違うの?と思ったかもしれませんが、株は企業への投資になるので企業側は返済義務はありません。しかし社債は企業が貴方からお金を借りていることになるので返済する義務があります。

ざっくりした解説になっていますが債券に関してはこんな感じです。

この社債と日経平均が連動したものが日経平均株価リンク債になります。

日経平均株価リンク債の仕組み

銀行時代に取り扱っていた商品を参考に解説していきます。名前とかは仮の設定ですが、条件としてはこのようなものが沢山あります。

発行体:国債○〇公社

期間:2年

金利:年1%~2%

最低申込金額:500万円

利息支払日:3ヶ月毎

判定日:各利払日より10営業日前

繰上償還日:利払日と同日

ノックイン条件:購入日の日経平均株価より35%下落した場合

繰上償還条件:判定日の日経平均株価がトリガー価格より上回った場合

※ノックイン:設定された割合まで日経平均株価が下落してしまった場合元本保証の機能がなくなってしまう仕組みのことです。

※トリガー価格:この場合条件設定日の日経平均株価の価格です。

思い出しながら書いてるので、間違ってたらすみません(笑)

他にも細かい条件はありますが、大体こんな感じです。

この条件を分かりやすく言うと

・条件決定日の日経平均株価がトリガー価格として設定される。

・期間は最長で2年間、最短で3ヶ月で償還される(お金が戻ってくること)

・3ヶ月毎に利息が貰える。

・利払日の10営業日前の判定日にトリガー価格を上回れば繰上償還される。

・各判定日にトリガー価格を一度も上回らなければ2年後に償還

・トリガー価格より35%日経平均株価が下落するとノックインしてしまい、元本保証の機能がなくなる。

・ノックインしても判定日にトリガー価格を上回った場合繰上償還される。

・判定日にトリガー価格を上回ることなく2年迎えた場合、日経平均が下がったパーセンテージ分償還金も減る。

こんな感じです。書き出すとキリがないので重要そうなとこだけまとめました。

この商品一般的な債券に比べると利率がとても高いです。

2018年9月現在の個人向け国債の利率は0.05%です。(最低限度の利率)

その国債に比べ、この仕組債は条件にも寄りますが大体1%以上の利率になる場合が多いです。

なんと国債の20倍です。

こう聞くと聞こえがいいかもしません。

更に解説していくと、まず発売前に債券の仮条件等が発表されます。

その条件を確認し、発売日の数日前に購入予約を行いその後条件等が固まっていきます。

固まっていく条件とは利率などです。

利率が仮条件発表の時にはまだ固まっていないためパンフレット等の表記は1%~2%という表記になっています。

日経平均株価リンク債ですが、これはノックインしないかぎり額面100%返ってきます。要はこの債券を購入した分が満額戻ってくるということです。

しかし、ノックインしてしまった場合、本当に悲惨なことになります。

債券保有中にノックインしてしまい、2年後の償還日を迎えてしまったらどうなるか数字を交えて解説すると、、

・満期償還日前の判定日で日経平均株価がトリガー価格の50%まで下がっていた場合

トリガー価格:20,000円

判定日価格:10,000円

下落率:50%

500万円×50%=250万円

半分になりました。

償還日が既に決まっているので、継続保有して日経平均株価の上昇を待つことも出来ません。

つまり、強制的に半分になって戻ってくるということです。

金利1%の為に、貴方はこのリスクを背負うことが出来ますでしょうか?

私だったら出来ません。

500万あったらバランス型ファンドの投資信託を購入し、長期保有しますね。

もし下がったとしても再度上がるまで持ち続ければいいのですから。

万が一かなり下がったとしても下がった時に買い増しして損失を抑えることだって可能です。

この仕組債は一度購入した後の選択肢が狭すぎるので本当に怖いです。

投資信託も勿論リスクはありますが、この日経平均リンク債よりはマシだと思っています。

銀行員等の金融マンが勧めてくる際、

「この企業の格付けはA以上なので日本の国債よりも格付が高いです。なので倒産の心配はありません。」

「ノックインのリスクはありますが、数年の間に日経平均株価が35%下落する確率は低いです。何故なら今後東京オリンピックが~」

とかいろいろ説明してきます。

上手いこと言ってきますが、実際数年後の景気動向を分かる訳がありません。

分かっていたらリーマンショックの損失も回避出来ていたはずです。

購入していざ損失が発生しても銀行等が損失を保証してくれる訳がありません。

現に銀行員時代ノックインしたお客様が多数いました。

ノックインした顧客が発生した場合、それが一覧表になって本部から送られてきます。

それをひたすらフォローをしますが、損失補填は一度もしておりません。

全て自己責任となってしまいます。

それでもこういった複雑な金融商品を購入したい方はしっかりと勉強した上で購入を行い、リスクとうまく向き合っていきましょう。

まとめ

日経平均リンク債について簡単にではありますが、まとめました。

上記理由によりお勧め出来るものではありません。

特に初心者の方は手を出すべき商品ではありません。

債券なので自動で利息も振り込まれますし、償還金も勝手に戻ってきます。

管理する負担は確かに少ないかもしてませんが、上記で説明した通りリスクが大きすぎます。

私が初心者の方に投資をする際に進めている方法は、積立投資です。

積立投資は少額から行うことが可能なので、気軽に始められますし、リスクを上手く分散することが可能です。

まず初心者の方はそういった投資方法から勉強し、徐々に大きな金額の投資にチャレンジしていくのがいいと思います。

積立投資の内容に関しては前回のブログにて解説していますので、気になる方は是非参考にしてみてください。

【資産運用】元銀行員が解説!積立投資の勧め【積立投資信託編】

今回は以上になります。

このブログが貴方の金融リテラシー向上に役立てたのなら幸いです。